ATR42は、フランスのアエロスパシアル(現エアバス)とイタリアのアレニアが共同で開発した双発ターボプロップ旅客機である。
フランス製のターボプロップ機としては日本国内航空(後の日本エアシステム、現日本航空)が導入したノール262以来となる。
機体は一回り大型であるが、高翼配置の主翼と胴体に直接取り付けられたランディングギアだけでなく、旅客用メインドアが後方なのもノール262譲りである。
機内はライバルとなるDHC-8と同じ2-2の4列配置で、コミューター向けのプロペラ機としては広いスペースを誇る。
1984年の初飛行以来30年以上にわたって地道な改良を重ね、バリエーションは初期型の200/300/320型、6枚プロペラになった400型、一部グラスコクピット化とエンジン電子化を行った500型、完全グラスコクピット化した600型がある。
巡航速度は約550km/hと、DHC-8-400(670km/h)と比較すると明らかに遅いが、昨今の燃料高騰のため速度よりも燃費を重視した設計が逆にエアラインに好まれて販売を伸ばしている。
日本航空(JAL)による日本エアシステム(JAS)の統合でJALグループの一員になった日本エアコミューター(JAC)は、JAS子会社時代から小型機材としてSAAB340Bを運航していた。
SAAB340Bは非常に使い勝手の良い機材であったが、就航から20年を過ぎて経年劣化による補修が増える一方で、メーカーの製造終了(民間機事業撤退)から久しく予備機から部品を捻出する共食い整備を強いられていた。
後継機の選定は急を要する状況であったが、同じJALグループで運航実績があるボンバルディアDHC-8はQ400を除いて生産終了し、1200m滑走路で満載運用できる機種はほぼATR42の一択であった。
2017年にハイビスカスをあしらった導入記念塗装で初号機が納入され、順調にSAAB340Bをリプレースしている。
また同型機を単機で運航する天草エアライン(AHX)が整備に入る際はJACの本機種がピンチヒッターでリースに出る。
ATR 42-600 (JA 03JC) 日本エアコミューター
登録記号 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
座席仕様 |
備考 |
JA 01JC |
ATR42-600 |
1215 |
2017.01 |
|
Y48 |
ハイビスカス塗装 |
JA 02JC |
ATR42-600 |
1218 |
2017.09 |
|
Y48 |
ハイビスカス塗装 |
JA 03JC |
ATR42-600 |
1401 |
2018.02 |
|
Y48 |
|
JA 04JC |
ATR42-600 |
1402 |
2018.03 |
|
Y48 |
|
JA 05JC |
ATR42-600 |
1404 |
2018.06 |
|
Y48 |
コウノトリ |
JA 07JC |
ATR42-600 |
1408 |
2019.01 |
|
Y48 |
|
JA 09JC |
ATR42-600 |
1414 |
2019.12 |
|
Y48 |
|
JA 11HC |
ATR42-600 |
1416 |
2019.12 |
|
Y48 |
北海道塗装 |
|
ATR42-600 |
T41 |
全長 |
22.7 m |
全幅 |
24.6 m |
全高 |
7.6 m |
巡航速度 |
556 km/h |
航続距離 |
1,320 km |
最大離陸重量 |
18.6 t |
エンジン |
PWC PW127M 2,400 SHP ×2 |
座席数 |
Y48 |
「日本の旅客機2018-2019」 イカロス出版, 2018年
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