JAL MD-87 (1988〜2008)


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機種概要

MD-87は、マクドネルダグラス(ボーイングに吸収合併)が開発した小型双発機である。
ベストセラーとなりつつあった小型機MD-80シリーズの胴体を短縮して、長距離を飛行できるように開発されたものである。
胴体が約6m短縮されて130席クラスとなった一方で、エンジンはMD-80と同じものを採用した。
そのためにパワーウェイトレシオが高く、ジェット旅客機としては類い希な離着陸性能を誇る。
短い滑走路から猛ダッシュで天空へと駆け上る姿は、「空飛ぶスポーツカー」と呼ばれたB727-100を彷彿させるものがある。
しかし、同様のコンセプトで開発されたライバルであるボーイングB737-500(エアーニッポンが導入)やエアバスのA319に押されて販売は苦戦し、マクドネルダグラスがボーイングに吸収合併されるのに伴いわずか54機で生産が打ち切られてしまった。

日本航空(JAL)のMD-87は、日本エアシステム(JAS)時代の1988年から1992年にかけて8機が導入された。
MD-81MD-90の兄弟機にあたる機種であるが、導入目的はこれらの機材とは明らかに異なっていた。
高いパワーウェイトレシオによる短距離離着陸を活かして、本機種ならではの路線を開拓するパイオニアとしての役割だ。
滑走路の短い旧北九州空港や高地にある松本空港、そして騒音規制の関係で離陸後に急上昇を強いられる伊丹空港A滑走路…ハナちゃんならではの舞台だった.
運用が国内線中心だったために長い航続距離を活用する機会は少なかったが、地方発着の国際チャーター便では長距離性能を遺憾なく発揮した。
本機種はJALグループ唯一の130席クラス機材として今後も活躍が期待されていたが、わずか8機の少数派で機種統一の流れには逆らえず、2008年3月をもって全機が退役した。


日本航空 MD-90
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) MD-87 (JA 8279) 現行塗装

フリートリスト
登録記号 型式 製造番号 登録年月 抹消年月 備考
JA 8278 MD-87 49464/1476 1988.06 2007.07 売却 現ワン・ツー・ゴー HS-OMI
JA 8279 MD-87 49465/1604 1989.09 2008.02 売却 現ワン・ツー・ゴー HS-OMJ
JA 8280 MD-87 49466/1727 1990.07 2008.04 売却 N880TH 整備保存
JA 8281 MD-87 49467/1742 1990.08 2008.05 ラストフライト機
売却 N820TH 整備保存
JA 8370 MD-87 53039/1881 1991.06 2008.03 売却 N826TH 整備保存
JA 8371 MD-87 53040/1897 1991.08 2008.03 売却 ビジネス機に改修 N987GC
JA 8372 MD-87 53041/1945 1991.12 2007.11 売却 ビジネス機に改修 N871SG
JA 8373 MD-87 53042/1969 1992.03 2008.01 売却 ビジネス機に改修 N870SG

スペック
MD-87 (国内線)
全長 39.8 m
全幅 32.9 m
全高 9.3 m
巡航速度 815 km/h
航続距離 3,000 km
最大離陸重量 57.0 t
エンジン PW JT8D-217C 9,070 kg ×2
座席数 Y134

塗装バリエーション
日本エアシステム MD-81
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) MD-87 (JA 8278) 日本エアシステム

写真(工事中)

Part 1 (JA 8278, 8279, 8280, 8281)
Part 2 (JA 8370, 8371, 8372, 8373)


参考文献

「JAL JET STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
「旅客機型式シリーズ7 DC-9 / MD-80 / MD-90 & Boeing 717」 イカロス出版 2002年


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