A300-600Rは、ヨーロッパのエアバスインダストリーがA300B2/B4の胴体にA310のグラスコクピットを組み合わせて開発した中型双発機である。
さらに低燃費エンジンと尾翼燃料タンクの装備によってA300B2/B4最大の弱点であった航続距離を改善した。
また、A300譲りの離着陸性能は相変わらず健在であり、地方空港の短い滑走路でも運用できるオールラウンド機として世界各地で活躍している。
双発機ゆえの経済性も味方して、旧JASのように3発機DC-10やL1011トライスターの後継として導入している航空会社も多い。
本機種は、JALに統合されたJAS(日本エアシステム)が1991年からA300B2/B4の増強用として導入した。
フラッグシップとして国内幹線に就航する一方で地方路線の機材大型化も担い、「ジョイフルウィング」の愛称で北は女満別から南は那覇まで日本中に翼を広げた。
またDC-10に代わる国際線機材として、中国路線を中心に幅広い活躍を見せた。
フリートは旧JASでも最大規模となる22機を誇り、名実ともに「エアバスレインボーの翼」JASのイメージリーダーとなっていた。
2002年にJALとJASの経営統合が決まり、本機種はそのままJALのフリートに合流する形となった。
機内仕様は「レインボーシート」の生まれ変わりといえるクラスJ34席を含む290席。
ボーイング一色に染まっていたJALのフリートに初めて加わったエアバス機は、余裕のある貨物搭載量を武器に羽田発着の地方路線で活躍した。
2010年の秋から機材整理のため急速に引退が進んでいたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災により完全引退が延期となった。
復興支援に伴う臨時便や機材大型化で最後に獅子奮迅の活躍を見せ、2011年5月にラストフライトとなった。
機体は比較的新しいため、貨物機に改修されるなどして全機が新天地へと旅立った。
AIRBUS A300B4-622R (JA 8376) 現行塗装
登録記号 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
備考 |
JA 8375 |
A300B4-622R |
602 |
1991.04 |
2011.08 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAC |
JA 8376 |
A300B4-622R |
617 |
1991.11 |
2011.08 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAD |
JA 8377 |
A300B4-622R |
621 |
1992.01 |
2011.04 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAG
元「松井ジェット」 |
JA 8527 |
A300B4-622R |
724 |
1995.04 |
2010.10 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAP |
JA 8529 |
A300B4-622R |
729 |
1995.05 |
2011.02 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAQ |
JA 8558 |
A300B4-622R |
637 |
1992.07 |
2010.12 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAI |
JA 8559 |
A300B4-622R |
641 |
1992.09 |
2011.01 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAJ |
JA 8561 |
A300B4-622R |
670 |
1993.01 |
2011.09 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAK |
JA 8562 |
A300B4-622R |
679 |
1993.03 |
2011.07 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAL
元「ポカリスエット号」 |
JA 8563 |
A300B4-622R |
683 |
1993.06 |
2011.09 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現エアホンコン EI-OZK |
JA 8564 |
A300B4-622R |
703 |
1994.11 |
2010.06 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAN |
JA 8565 |
A300B4-622R |
711 |
1993.12 |
2010.12 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAO |
JA 8566 |
A300B4-622R |
730 |
1995.09 |
2011.03 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAR |
JA 8573 |
A300B4-622R |
737 |
1994.09 |
2011.08 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAS |
JA 8574 |
A300B4-622R |
740 |
1994.11 |
2010.11 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAT |
JA 8657 |
A300B4-622R |
753 |
1996.05 |
2011.02 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAE |
JA 8659 |
A300B4-622R |
770 |
1996.06 |
2011.02 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現エアコントラクターズ EI-OZJ |
JA 011D |
A300B4-622R |
783 |
1998.05 |
2011.09 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAH |
JA 012D |
A300B4-622R |
797 |
2000.03 |
2011.07 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAM |
JA 014D |
A300B4-622R |
836 |
2002.08 |
2011.04 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAF |
JA 015D |
A300B4-622R |
837 |
2002.09 |
2011.03 |
売却 貨物機A300B4-622R/Fに改修
現EATライプチヒ D-AEAB |
JA 016D |
A300B4-622R |
838 |
2002.11 |
2011.08 |
売却 現マハンエア EP-MMO
製造最終号機 |
|
A300-600R (国内線) |
H12 |
全長 |
54.1 m |
全幅 |
44.8 m |
全高 |
16.5 m |
巡航速度 |
848 km/h |
航続距離 |
3,890 km |
最大離陸重量 |
172.0 t |
エンジン |
PW PW4158 26,300 kg ×2 |
座席数 |
290
(P34 Y256) |
AIRBUS A300B4-622R (JA 8375) 旧JAS塗装
Part 1 (JA 8375, 8376, 8377, 8558)
Part 2 (JA 8559, 8561, 8562, 8563)
Part 3 (JA 8564, 8565, 8566, 8527)
Part 4 (JA 8529, 8573, 8574, 8657)
Part 5 (JA 8659, 011D, 012D, 014D)
Part 6 (JA 015D, 016D)
「JAL JET STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
「旅客機型式シリーズ4 Airbus A300 & A310」 イカロス出版 2002年
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