B727-100は、ボーイング社が開発した短中距離用の小型三発機である。
長距離用B707の成功を受けて本格的なジェット機の時代が始まり、ローカル線へ向けて新しく設計された。
B707と共通の胴体を短縮し、T字尾翼を採用して3基のエンジンをリアマウントでまとめて取り付けるスタイルを取った。
離着陸性能を稼ぐためにパワーウェイトレシオが高く、旅客機としては猛烈な離陸上昇から「空飛ぶスポーツカー」と呼ばれて人気者になった。
しかしながら同規模の双発機B737-200が開発されると経済性で見劣りし、受注・販売はストレッチ型の200型に移行した。
JALでは、国内線に投入するため初めての短距離用ジェット機としてB727-100を12機発注、1965年から就航した。
一方、旧JASの前身、JDA(日本国内航空)も1966年に2機を導入して国内幹線に投入したが政府の方針によりJALに運航を委託されることになった。
本機種は、コンベアCV880に代わって国内線や近距離国際線に就航し優れた信頼性、安全性、経済性が評価されてJALのジェット化に貢献した。
1971年のTDA(東亜国内航空)発足とともに3機(うち1機は事故抹消になったCV880の補償)がTDAに移籍復帰し、東京−大分線で再デビューを飾った。
本機種の多くは、幹線では航空需要が増えてキャパシティが不足気味になるとともに、ローカル線ではB737-200やDC-9などのより適した機種が登場したことにより、1970年代半ばには海外へと売却されていった。
しかし、最後に導入された2機は1988年までJALのフリートに残り、JALの最小機材として新潟−ハバロフスク線を中心に国内線・国際線の臨時便やチャーター便など機動力を活かした活躍を見せた。

BOEING B727-46 (JA 8319) 旧々塗装
登録記号 |
運航会社 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
愛称 |
備考 |
JA 8307 |
JAL |
B727-46 |
18874/166 |
1965.07 |
1972.08 |
とね |
売却 エアタクシー N11412 解体 |
JA 8308 |
JAL |
B727-46 |
18875/202 |
1965.11 |
1972.07 |
かも |
売却 SAMコロンビア航空 HK-2421 事故抹消 |
JA 8309 |
JAL |
B727-46 |
18876/217 |
1966.01 |
1972.11 |
ちくご |
売却 SAMコロンビア航空 HK-2422 事故抹消 |
JA 8310 |
JAL |
B727-46 |
18877/226 |
1966.01 |
1972.11 |
いしかり |
売却 ニューACS 9Q-CRA 解体 |
JA 8311 |
JAL |
B727-46 |
18878/236 |
1966.03 |
1972.12 |
きそ |
売却 ノーザンエアカーゴ N190AJ 地上訓練機 |
JA 8312 |
JAL |
B727-46 |
18879/254 |
1966.04 |
1972.09 |
とかち |
売却 アエロリパブリカ HK-3840 解体 |
JA 8314 |
TDA |
B727-89 |
19138/246 |
1966.03 |
1975.11 |
天女(JDA)
てんりゅう(JAL)
かいもん(TDA) |
日本国内航空が導入 JA8314
国内移籍 日本航空 JA8314
国内移籍(復帰) 東亜国内航空 JA8314
売却 シープエアリフト 9Q-CBT 解体 |
JA 8315 |
TDA |
B727-89 |
19139/255 |
1966.04 |
1976.03 |
羽衣(JDA)
よど(JAL)
たかちほ(TDA) |
日本国内航空が導入 JA8315
国内移籍 日本航空 JA8315
国内移籍(復帰) 東亜国内航空 JA8315
売却 VIP機に改修 9Q-CBF 整備保存
TDAラストフライト機 |
JA 8318 |
TDA |
B727-46 |
19279/288 |
1966.07 |
1974.08 |
たま(JAL)
ふじ(TDA) |
日本航空が導入 JA8318
国内移籍 東亜国内航空 JA8318
売却 ダンエアロンドン G-BDAN 事故抹消 |
JA 8319 |
JAL |
B727-46 |
19280/373 |
1967.02 |
1975.03 |
きたかみ |
売却 ACESコロンビア航空 HK-3246 解体 |
JA 8320 |
JAL |
B727-46 |
19281/378 |
1967.02 |
1974.04 |
さがみ |
売却 アエロリパブリカ HK-3841 解体 |
JA 8325 |
JAL |
B727-46 |
19282/495 |
1967.12 |
1975.09 |
しなの |
売却 ビジネス機に改修 VP-CMN |
JA 8326 |
JAL |
B727-46 |
19283/502 |
1967.12 |
1988.02 |
くまの |
売却 エバーグリーン N745EV 整備保存 |
JA 8327 |
JAL |
B727-46 |
20078/686 |
1969.01 |
1988.02 |
くろべ |
売却 エアジェミニ S9-BAI 事故抹消
JALラストフライト機 |
N 690WA |
JAL |
B727-173C |
19504/427 |
1970.02 |
1975.03 |
|
短期リース ワールドエアウェイズ N690WA
エクスプレスネット N704A 整備保存 |
N 691WA |
JAL |
B727-173C |
19505/432 |
1969.03 |
1973.01 |
|
短期リース ワールドエアウェイズ N691WA
ドミニカーナ航空 HI-312CT 解体 |
N 692WA |
JAL |
B727-173C |
19506/447 |
1969.08 |
1970.07 |
|
短期リース ワールドエアウェイズ N692WA
UPS N938UP 整備保存 |
N 693WA |
TDA |
B727-173C |
19507/449 |
1969.08 |
1975.03 |
とかち |
短期リース ワールドエアウェイズ N693WA
エアジェミニ S9-BAH 整備保存 |
N 694WA |
JAL |
B727-173C |
19508/457 |
1969.03 |
1971.03 |
|
短期リース ワールドエアウェイズ N694WA
ヴァリグログ PP-VLS 解体 |
N 695WA |
JAL |
B727-173C |
19509/459 |
1970.08 |
1971.03 |
|
短期リース ワールドエアウェイズ N695WA
フェデックス N199FE 博物館展示 |
|
B727-100 (国内線) |
全長 |
40.6 m |
全幅 |
32.9 m |
全高 |
10.4 m |
巡航速度 |
876 km/h |
航続距離 |
2,000 km |
最大離陸重量 |
69.0 t |
エンジン |
PW JT8D-7 6,350 kg ×3 |
座席数 |
Y129 |

BOEING B727-46 (JA 8307) 初代塗装

BOEING B727-89 (JA 8314) 東亜国内航空

BOEING B727-89 (JA 8315) 日本国内航空
「JAL JET STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
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