ボーイングでは、ボーイングB747シリーズの成功を受けてさらなる旅客収容力のアップを目指したモデルを開発することとなった。
これがB747-300で、B747-200をベースに2階客席を延長しハイパワーエンジンを搭載することで実現させた。
300型の別名はSUD、「ストレッチ・アッパーデッキ」の略だ。
一見すると抵抗増加のような2階客席の延長であるが、2階部分が絞り込まれるのがちょうど主翼の位置にあたることから「エリアルール効果」によって空気抵抗が減少し、航続距離はむしろ200型より伸びた。
キャパシティ増加と性能向上を両立させジャンボの切り札的存在となった300型であったが、登場した直後からボーイングではすぐに後継となる「新世代ジャンボ」400型の開発を始めたため、300型が生産された期間はそれほど長くなかった。
1980年代前半、JALは「ジャンボジェット」として親しまれているB747を40機以上も導入して、国際線、国内線、そして貨物便と輸送力が求められるあらゆる路線に投入していた。
しかしそれでもキャパシティが不足気味になり、さらなる大量輸送の時代に向けて最大563人乗りのB747-300を1983年から導入した。
JALのフリートに入った300型は国内線機と国際線機を合わせて16機。
うち4機はJALグループの国際線エアラインであるJALウェイズと日本アジア航空で運航され、両社ではB747-400が入ってくるまではフラッグシップとして特別な存在になっていた。
また、JALでは国内線用としてB747-300SRとB747-100B/SUDという特注型を運航している。
これらは、短距離運航のために着陸装置などが強化されているSR仕様の300型で、世界中でJALしか発注していない珍しいジャンボ機でもある。
このうち、最初に導入された8170/76はB747-100Bと同じエンジンを搭載したために100B/SUD、後に導入された8183/84/86/87は国際線用300型と同じエンジンを搭載して300SRと呼ばれている。
2006年からは最新鋭のB777-300ERと入れ替わるように引退が始まり、2009年7月にラストフライトとなり日本の空から3人乗務機が姿を消した。
BOEING B747-346 (JA 8163) 旧塗装
登録記号 |
運航会社 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
備考 |
JA 8163 |
JAL |
B747-346 |
23149/599 |
1984.12 |
2008.05 |
売却 現オリエントタイ航空 HS-UTN |
JA 8166 |
JAL |
B747-346 |
23151/607 |
1985.02 |
2009.09 |
売却 現オリエントタイ航空 HS-UTV |
JA 8170 |
JAL |
B747-146B/SUD |
23390/636 |
1986.03 |
2006.12 |
売却 現オリエントタイ航空 HS-UTQ
元「GLAYジャンボ」「ドリームエクスプレス」 |
JA 8173 |
JAL |
B747-346 |
23482/640 |
1986.04 |
2007.02 |
売却 現トランスアエロ航空 VP-BGU |
JA 8176 |
JAL |
B747-146B/SUD |
23637/655 |
1986.09 |
2006.04 |
売却 現オリエントタイ航空 HS-UTM |
JA 8177 |
JAL |
B747-346 |
23638/658 |
1986.10 |
2009.07 |
売却 現マックスエア 5N-BMG |
JA 8178 |
JAL |
B747-346 |
23639/664 |
1986.12 |
2006.09 |
売却 現オリエントタイ航空 HS-UTD |
JA 8179 |
JAL |
B747-346 |
23640/668 |
1987.02 |
2007.07 |
売却 現トランスアエロ航空 VP-BGY |
JA 8183 |
JAL |
B747-346SR |
23967/692 |
1987.12 |
2009.08 |
売却 現マックスエア 5N-DDK
元「JALリゾッチャ白」 |
JA 8184 |
JAL |
B747-346SR |
23968/693 |
1988.01 |
2008.11 |
売却 現マックスエア 5N-DBM
元「JALリゾッチャ白」 |
JA 8185 |
JAL |
B747-346 |
23969/691 |
1988.03 |
2009.11 |
売却 貨物機B747-346SFに改修
現カリッタエア N768CK
元「JAAようこそジャパン」 |
JA 8186 |
JAL |
B747-346SR |
24018/694 |
1988.02 |
2008.10 |
売却 現オリエントタイ航空 HS-UTS
元「JAZリゾッチャピンク」 |
JA 8187 |
JAZ |
B747-346SR |
24019/695 |
1988.02 |
2007.07 |
売却 現トランスアエロ航空 VP-BGW
元「JAZリゾッチャピンク」 |
JA 8189 |
JAA |
B747-346 |
24156/716 |
1988.10 |
2007.07 |
売却 現トランスアエロ航空 VP-BGX
製造最終号機 |
N 212JL
JA 812J |
JAL |
B747-346 |
23067/588 |
1983.11 |
2009.10 |
1998.06 JA812Jで日本籍登録
売却 現オリエントタイ航空 HS-UTW |
N 213JL
JA 813J |
JAL |
B747-346 |
23068/589 |
1983.12 |
2010.01 |
1998.06 JA813Jで日本籍登録
売却 現サザンエア N818SA |
VH-EBT |
JAL |
B747-338 |
23222/602 |
1992.03 |
1994.03 |
短期リース カンタス航空 VH-EBT
ミッドエアSA N747ZZ 解体 |
VH-EBX |
JAL |
B747-338 |
23688/662 |
1992.03 |
1994.03 |
短期リース カンタス航空 VH-EBX
アメリカで整備保存 |
VH-EBY |
JAL |
B747-338 |
23823/678 |
1992.04 |
1994.04 |
短期リース カンタス航空 VH-EBY
セントラフリクエアエクスプレス C5-SAG 整備保存 |
|
B747-300 (国際線) |
B747-300SR (国際線) |
B747-100B/SUD (国内線) |
S05 |
S23 |
全長 |
70.7 m |
全幅 |
59.6 m |
全高 |
19.3 m |
巡航速度 |
916 km/h |
895 km/h |
884 km/h |
航続距離 |
10,800 km |
3,900 km |
最大離陸重量 |
371.9 t |
272.2 t |
エンジン |
PW JT9D-7R4G2 24,830 kg ×4 |
PW JT9D-7A 20,930kg ×4 |
座席数 |
431
(C41 Y390) |
452
(C50 Y402) |
563
(F25 Y538) |
BOEING B747-346 (JA 8189) 日本アジア航空
BOEING B747-346 (JA 8166) 旧々塗装
BOEING B747-346SR (JA 8183) JALリゾッチャ白
BOEING B747-346SR (JA 8186) JAZリゾッチャピンク
BOEING B747-346 (JA 8173) 2代目塗装
Part 1 (JA 812J, 813J, 8163, 8166)
Part 2 (JA 8170, 8173, 8176, 8177)
Part 3 (JA 8178, 8179, 8183, 8184)
Part 4 (JA 8185, 8186, 8187, 8189)
「JAL JET STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
「新・旅客機型式シリーズ4 日本のBoeing 747 Classic」 イカロス出版 2008年
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