JAL B747-300 (1983〜2009) / 300SR (1987〜2009) / 100B-SUD (1986〜2006)


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機種概要

ボーイングでは、ボーイングB747シリーズの成功を受けてさらなる旅客収容力のアップを目指したモデルを開発することとなった。
これがB747-300で、B747-200をベースに2階客席を延長しハイパワーエンジンを搭載することで実現させた。
300型の別名はSUD、「ストレッチ・アッパーデッキ」の略だ。
一見すると抵抗増加のような2階客席の延長であるが、2階部分が絞り込まれるのがちょうど主翼の位置にあたることから「エリアルール効果」によって空気抵抗が減少し、航続距離はむしろ200型より伸びた。
キャパシティ増加と性能向上を両立させジャンボの切り札的存在となった300型であったが、登場した直後からボーイングではすぐに後継となる「新世代ジャンボ」400型の開発を始めたため、300型が生産された期間はそれほど長くなかった。

1980年代前半、JALは「ジャンボジェット」として親しまれているB747を40機以上も導入して、国際線、国内線、そして貨物便と輸送力が求められるあらゆる路線に投入していた。
しかしそれでもキャパシティが不足気味になり、さらなる大量輸送の時代に向けて最大563人乗りのB747-300を1983年から導入した。
JALのフリートに入った300型は国内線機と国際線機を合わせて16機。
うち4機はJALグループの国際線エアラインであるJALウェイズと日本アジア航空で運航され、両社ではB747-400が入ってくるまではフラッグシップとして特別な存在になっていた。
また、JALでは国内線用としてB747-300SRとB747-100B/SUDという特注型を運航している。
これらは、短距離運航のために着陸装置などが強化されているSR仕様の300型で、世界中でJALしか発注していない珍しいジャンボ機でもある。
このうち、最初に導入された8170/76はB747-100Bと同じエンジンを搭載したために100B/SUD、後に導入された8183/84/86/87は国際線用300型と同じエンジンを搭載して300SRと呼ばれている。
2006年からは最新鋭のB777-300ERと入れ替わるように引退が始まり、2009年7月にラストフライトとなり日本の空から3人乗務機が姿を消した。


日本航空 B747-300
BOEING B747-346 (JA 8163) 旧塗装

フリートリスト
登録記号 運航会社 型式 製造番号 登録年月 抹消年月 備考
JA 8163 JAL B747-346 23149/599 1984.12 2008.05 売却 現オリエントタイ航空 HS-UTN
JA 8166 JAL B747-346 23151/607 1985.02 2009.09 売却 現オリエントタイ航空 HS-UTV
JA 8170 JAL B747-146B/SUD 23390/636 1986.03 2006.12 売却 現オリエントタイ航空 HS-UTQ
元「GLAYジャンボ」「ドリームエクスプレス」
JA 8173 JAL B747-346 23482/640 1986.04 2007.02 売却 現トランスアエロ航空 VP-BGU
JA 8176 JAL B747-146B/SUD 23637/655 1986.09 2006.04 売却 現オリエントタイ航空 HS-UTM
JA 8177 JAL B747-346 23638/658 1986.10 2009.07 売却 現マックスエア 5N-BMG
JA 8178 JAL B747-346 23639/664 1986.12 2006.09 売却 現オリエントタイ航空 HS-UTD
JA 8179 JAL B747-346 23640/668 1987.02 2007.07 売却 現トランスアエロ航空 VP-BGY
JA 8183 JAL B747-346SR 23967/692 1987.12 2009.08 売却 現マックスエア 5N-DDK
元「JALリゾッチャ白」
JA 8184 JAL B747-346SR 23968/693 1988.01 2008.11 売却 現マックスエア 5N-DBM
元「JALリゾッチャ白」
JA 8185 JAL B747-346 23969/691 1988.03 2009.11 売却 貨物機B747-346SFに改修
現カリッタエア N768CK
元「JAAようこそジャパン」
JA 8186 JAL B747-346SR 24018/694 1988.02 2008.10 売却 現オリエントタイ航空 HS-UTS
元「JAZリゾッチャピンク」
JA 8187 JAZ B747-346SR 24019/695 1988.02 2007.07 売却 現トランスアエロ航空 VP-BGW
元「JAZリゾッチャピンク」
JA 8189 JAA B747-346 24156/716 1988.10 2007.07 売却 現トランスアエロ航空 VP-BGX
製造最終号機
N 212JL
JA 812J
JAL B747-346 23067/588 1983.11 2009.10 1998.06 JA812Jで日本籍登録
売却 現オリエントタイ航空 HS-UTW
N 213JL
JA 813J
JAL B747-346 23068/589 1983.12 2010.01 1998.06 JA813Jで日本籍登録
売却 現サザンエア N818SA
VH-EBT JAL B747-338 23222/602 1992.03 1994.03 短期リース カンタス航空 VH-EBT
ミッドエアSA N747ZZ 解体
VH-EBX JAL B747-338 23688/662 1992.03 1994.03 短期リース カンタス航空 VH-EBX
アメリカで整備保存
VH-EBY JAL B747-338 23823/678 1992.04 1994.04 短期リース カンタス航空 VH-EBY
セントラフリクエアエクスプレス C5-SAG 整備保存

スペック
B747-300 (国際線) B747-300SR (国際線) B747-100B/SUD (国内線)
S05 S23
全長 70.7 m
全幅 59.6 m
全高 19.3 m
巡航速度 916 km/h 895 km/h 884 km/h
航続距離 10,800 km 3,900 km
最大離陸重量 371.9 t 272.2 t
エンジン PW JT9D-7R4G2 24,830 kg ×4 PW JT9D-7A 20,930kg ×4
座席数 431
(C41 Y390)
452
(C50 Y402)
563
(F25 Y538)

塗装バリエーション
日本アジア航空 B747-300
BOEING B747-346 (JA 8189) 日本アジア航空

日本航空 B747-300
BOEING B747-346 (JA 8166) 旧々塗装

日本航空 B747-300
BOEING B747-346SR (JA 8183) JALリゾッチャ白

JALウェイズ B747-300
BOEING B747-346SR (JA 8186) JAZリゾッチャピンク

日本航空 B747-300
BOEING B747-346 (JA 8173) 2代目塗装

写真

Part 1 (JA 812J, 813J, 8163, 8166)
Part 2 (JA 8170, 8173, 8176, 8177)
Part 3 (JA 8178, 8179, 8183, 8184)
Part 4 (JA 8185, 8186, 8187, 8189)


参考文献

「JAL JET STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
「新・旅客機型式シリーズ4 日本のBoeing 747 Classic」 イカロス出版 2008年


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