DC-8-62は、アメリカのマクドネルダグラスが開発した超長距離用の中型四発機である。
胴体を大幅にストレッチして大型化したDC-8-61とは対照的に、本機種は主翼を拡大して空力特性の改善とともに燃料搭載量を増やした。
航続距離は最大で1万kmに達し、これまで途中での給油が必要な長距離区間をひとっ飛びできるようになった。
エンジンはこれまでと同じJT3D-8であるが、エンジンナセルが改良され空気抵抗と騒音が削減されている。
今でこそB747-400やB777-300ERで一般的となった超長距離ノンストップ飛行も、本機種がパイオニアといえるだろう。
1960年代後半、国際線の拡充を進めていたJALは本格的な超長距離機として本機種の導入を決めた。
飛び抜けた航続性能を武器に、羽田からアメリカ本土への直行を可能にして旅行時間の短縮に直接貢献した。
しかし、JALはボーイングB747ジャンボを1970年から導入したために、フラッグシップを担ったのはわずか2年であった。
その後はB747のサポート役をこなすとともに、新規開設路線などで表舞台に立つことも多く、決して日陰者とはいえない活躍を見せていた。
また、貨物専用型のDC-8-62AFも5機導入され、のちにフリートへ加わったジャンボフレイターとともにJALの貨物路線を支えてきた。
引退は1988年の1月、兄弟機のDC-8-61とともに大勢のファンに見送られて日本を後にした。
後継機のDC-10やB767-200が就航しても、一気に置き換えられることなく日本の空を飛び続けていたことは名機の証といえるだろう。
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-8-62 (JA 8031) 旧々塗装
登録記号 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
愛称 |
備考 |
JA 8031 |
DC-8-62 |
45953/348 |
1968.04 |
1988.01 |
あわじ |
売却 貨物機DC-8-62Fに改修
アローエア N66656 整備保存 |
JA 8032 |
DC-8-62 |
45954/362 |
1968.05 |
1983.03 |
しが |
売却 貨物機DC-8-62Fに改修
ABXエア N808AX 整備保存 |
JA 8033 |
DC-8-62 |
45955/365 |
1968.06 |
1984.01 |
あまくさ |
売却 貨物機DC-8-62Fに改修
現ATI N21CX |
JA 8034 |
DC-8-62 |
45956/376 |
1968.07 |
1983.08 |
だいせん |
売却 貨物機DC-8-62Fに改修
現シルバーバックカーゴ 9XR-SD |
JA 8035 |
DC-8-62 |
46023/407 |
1968.11 |
1988.01 |
たいせつ |
売却 貨物機DC-8-62Fに改修
現シグナスエア EC-EMD
旅客型ラストフライト機 |
JA 8036 |
DC-8-62AF |
46022/417 |
1968.12 |
1988.01 |
わかさ |
売却 現MKエアラインズ 9G-MKK |
JA 8037 |
DC-8-62 |
46024/428 |
1969.01 |
1985.04 |
やしま |
売却 貨物機DC-8-62Fに改修
エメリーワールドワイド N995CF 整備保存 |
JA 8040 |
DC-8-62 |
46057/474 |
1969.07 |
1972.12 |
ひだ |
事故抹消 1972.11.29
モスクワ・シェレメチェボ空港離陸直後に墜落 |
JA 8044 |
DC-8-62AF |
46139/537 |
1970.09 |
1985.02 |
いずも |
売却 エメリーワールドワイド N998CF 整備保存 |
JA 8051 |
DC-8-62 |
46152/550 |
1971.08 |
1977.10 |
|
事故抹消 1977.09.27
クアラルンプール空港着陸進入中に墜落 |
JA 8052 |
DC-8-62 |
46153/551 |
1971.10 |
1987.11 |
|
売却 貨物機DC-8-62Fに改修
現MKエアラインズ 9G-MKH |
JA 8053 |
DC-8-62 |
46161/552 |
1971.11 |
1987.02 |
|
売却 貨物機DC-8-62Fに改修
ATI N730PL 事故抹消 |
JA 8054 |
DC-8-62AF |
46148/553 |
1972.01 |
1977.01 |
|
事故抹消 1977.01.13
アンカレジ空港離陸直後に墜落 |
JA 8055 |
DC-8-62AF |
46154/554 |
1972.02 |
1984.09 |
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売却 エメリーワールドワイド N997CF |
JA 8056 |
DC-8-62AF |
46162/555 |
1972.03 |
1983.10 |
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売却 エメリーワールドワイド N996CF
製造最終号機 |
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DC-8-62 (国内線) |
全長 |
48.0 m |
全幅 |
45.2 m |
全高 |
12.9 m |
巡航速度 |
876 km/h |
航続距離 |
8,700 km |
最大離陸重量 |
158.9 t |
エンジン |
PW JT3D-8B 8,170 kg ×4 |
座席数 |
Y165 |
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-8-62 (JA 8032) 初代塗装
「JAL JET STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
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