JAL MD-11 (1993〜2004)

MD-11は、アメリカのマクドネルダグラス（現在はボーイングに合併）が開発した、長距離用の大型三発機である。
中長距離機材として成功を収めたDC-10の胴体をストレッチするとともに、グラスコクピットやウィングレットなどの新世代技術を盛り込んだ。
機内はDC-10と同じく横９列で、全長が伸びた分だけキャパシティが大きくなり2クラスで250〜300席と堂々たる大型機の仲間入りを果たした。
垂直尾翼を貫通するセンターエンジンにウィングレットといった独特のスタイルで人気がある機種だ。
しかしながら双発のボーイングB777・エアバスA330と四発のエアバスA340の狭間で旅客機としての存在意義が薄れ，現在は手頃なサイズの割に搭載重量が大きいことから貨物機として大いに活躍している。

1994年にJALは、DC-10の後継となる300席クラスの長距離用機材として本機種を導入した。
日本の珍鳥をあしらった「Jバード」の愛称で、中距離のアジア路線から長距離の北アメリカ路線まで幅広く就航していた。
導入当初は乗務員の慣熟を兼ねて国内線に投入されていたが、DC-10と異なり基本的には国際線専用機としての位置づけであった。
本機種には、エコノミークラスが多い短中距離仕様とビジネスクラスが多い長距離仕様の2種類のコンフィグレーションが存在し、運用も比較的厳密に分けられていた。
国際線・国内線で主力機種として長らく飛び回ったDC-10の後を受け継ぐべく期待された本機種であったが、JALでもB777をはじめとする双発機の台頭で2002年から早くも引退が始まってしまった。
そして2004年10月に最後の1機JA8582がラストフライトを務め、11年という短い活躍に終止符を打った。
JALではコンベアCV880とともに運航期間が短い「不遇の旅客機」として記録に残るが、本機種は機体が使用不能になる大事故もなく10機全部が元気で日本を旅立ち、現在でもUPSで貨物機として活躍している。

Part 1 (JA 8581, 8584, 8585)
Part 2 (JA 8586, 8587, 8588)

「JAL JET STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2004-2005」 イカロス出版, 2004年
「旅客機型式シリーズ1 DC-10/MD-11 & L-1011」 イカロス出版 2000年

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