JAL DC-10-30 (1988〜2000) / 40 (1976〜2005)


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機種概要

DC-10は、アメリカのマクダネルダグラス(現ボーイング)が開発した中長距離用の中型三発機である。
垂直尾翼を貫くように配置されたセンターエンジンと、直線的で大きな主翼・水平尾翼による無骨なフォルムから、今でも人気は非常に高い。
アメリカ大陸の横断をターゲットとした中距離用の10型と、DC-8の後継として長時間の洋上飛行も視野に入れた長距離用の30、40型が開発された。
ライバルのロッキードL-1011トライスターは中距離用だったため10型と激しい受注合戦を繰り広げたが、長距離用は30型の一人勝ち状態だった。

1976年に、JALは国際線・国内線両用の中型機として、B747と同じ系列のPWエンジンを搭載した40型を20機導入した。
40型は世界でもJALとNWA(ノースウエスト航空)だけが発注した希少種だ。
B747では大きすぎる、国際主要路線や国内準幹線に投入され、華々しい活躍というよりは、「いぶし銀」の名脇役的な存在でもあった。
国際線機・国内線機がそれぞれ10機ずつ運航されていたが、国内線にB767-300が増えてくると国内線から国際線に移った機体もあった。
一方、TDA(東亜国内航空、現JAL)は本格的な国際線の開設に備えて、1988年に30型の航続距離延長型である30ERを導入した。
国際線進出とともに社名を「日本エアシステム」に変更し、エアバスレインボーをまとったDC-10はシンガポールやホノルルへと翼を広げた。
その後相次ぐ路線運休によって韓国線や国内幹線を中心に飛んでいたが、1997年にハーレクインエアが設立され長距離路線に復帰。
ジャンボのような派手さはない、だけど地道に実績を積み上げる「脇役」ゆえに熱烈なファンは多かった。
本機種はJAL・JAS統合後の2005年10月31日にラストフライトとなり、日本の空から三発機が姿を消した。
世界的にはアメリカン航空のシカゴ事故やガルーダ航空の福岡事故など、大事故が相次いだDC-10だが、JAL・JASでは導入以来29年間の運航で1機も事故抹消になることなく、22機すべてが次のカスタマーに売却された。


日本航空 DC-10
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-10 (JA 8531) 旧塗装

フリートリスト
登録記号 運航会社 型式 製造番号 登録年月 抹消年月 備考
JA 8530 JAL DC-10-40 46920/212 1976.04 1997.12 売却 貨物機DC-10-40Fに改修
アローエア N140WE 整備保存
JA 8531 JAL DC-10-40 46923/216 1976.04 2004.07 売却 グローバルエアタンカー N469V 整備保存
JA 8532 JAL DC-10-40 46660/220 1976.04 2005.03 売却 ウェルズファーゴバンク N660VV 整備保存
JA 8533 JAL DC-10-40 46661/224 1976.05 1998.04 売却 貨物機DC-10-40Fに改修
アローエア N141WE 整備保存
JA 8534 JAL DC-10-40 46913/206 1976.11 2004.11 売却 ヴィヴァルディオーバーシーズ N913VV 整備保存
JA 8535 JAL DC-10-40 46662/230 1976.08 2005.04 売却 ウェルズファーゴバンク N662VV 整備保存
JA 8536 JAL DC-10-40 46966/262 1978.11 1999.02 売却 貨物機DC-10-40Fに改修
現アローエア N142WE
JA 8537 JAL DC-10-40 46967/265 1979.01 2004.09 売却 ウェルズファーゴバンク N967VV 整備保存
JA 8538 JAL DC-10-40 46974/274 1979.04 2005.09 売却 現オメガエア N974VV
JA 8539 JAZ DC-10-40 47822/304 1980.01 2003.11 売却 ウェルズファーゴバンク N822V 整備保存
元スーパーリゾートエクスプレス
JA 8540 JAL DC-10-40 47823/306 1980.01 2000.01 売却 貨物機DC-10-40Fに改修
現デタエア UP-DC101
JA 8541 JAL DC-10-40 47824/308 1980.03 2005.11 売却 ウェルズファーゴバンク N824VV 整備保存
JALラストフライト機
JA 8542 JAL DC-10-40 47825/310 1980.04 2005.12 売却 ウェルズファーゴバンク N825VV 整備保存
JA 8543 JAL DC-10-40 47826/313 1980.05 2005.11 売却 ウェルズファーゴバンク N826VV 整備保存
JA 8544 JAZ DC-10-40 47852/340 1980.12 2004.04 売却 グローバルエアタンカー N852V 整備保存
元リゾッチャ
JA 8545 JAL DC-10-40 47853/343 1980.12 2005.08 売却 ウェルズファーゴバンク N853VV 整備保存
JA 8546 JAL DC-10-40 47855/349 1981.03 200103 売却 : 貨物機DC-10-40Fに改修
現デタエア UP-DC102
JA 8547 JAZ DC-10-40 47856/366 1981.12 2003.06 売却 ウェルズファーゴバンク N856V 整備保存
元スーパーリゾートエクスプレス
JA 8548 JAL DC-10-40 47857/367 1982.01 2003.07 売却 ウェルズファーゴバンク N857V 整備保存
JA 8549 JAL DC-10-40 48301/381 1983.03 2003.09 売却 ウェルズファーゴバンク N858V 整備保存
40型製造最終号機
JA 8550 HLQ DC-10-30ER 48315/436 1988.04 2000.03 売却 現オムニエア N522AX
JA 8551 JAS DC-10-30ER 48316/437 1989.07 2000.03 売却 現オムニエア N531AX
1988.07〜1989.06 大韓航空にリース HL7329

スペック
DC-10-30 DC-10-40
(国内線)
DC-10-40
(国際線)
全長 55.3 m 55.6 m
全幅 50.4 m
全高 17.7 m
巡航速度 891 km/h 884 km/h
航続距離 10,460 km 4,630 km 8,330 km
最大離陸重量 267.6 t 251.7 t 201.0 t
エンジン GE CF6-50C2 24,510 kg ×3 PW JT9D-59A 24,000 kg ×3
座席数 276
(C41 Y235)
318
(F18 Y300)
266
(C39 Y227)

塗装バリエーション
JALウェイズ DC-10
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-10-40 (JA 8544) JALウェイズ

日本航空 DC-10
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-10-40 (JA 8530) 旧々塗装

日本航空 DC-10
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-10-40 (JA 8539) ジャパンエアチャーター

日本航空 DC-10
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-10-40 (JA 8532) 旧々塗装

日本エアシステム DC-10
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-10-30 (JA 8550) 日本エアシステム

ハーレクインエア DC-10
BOEING (MCDONNELL DOUGLAS) DC-10 (JA 8550) ハーレクインエア

写真(工事中)

Part 1 (JA 8531, 8532, 8535)
Part 2 (JA 8537, 8538, 8542)
Part 3 (JA 8543, 8544, 8549)


参考文献

「JAL JET STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2004-2005」 イカロス出版, 2004年
「旅客機型式シリーズ1 DC-10/MD-11 & L-1011」 イカロス出版 2000年


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