F50は、オランダのフォッカー社が開発した双発ターボプロップ旅客機である。
世界的にベストセラーとなったF27フレンドシップを全面的に改良した機体で、グラスコクピットの採用など随所に新世代技術が盛り込まれている。
プロペラ機ならではの地上風景が楽しめる高翼配置は受け継がれ、低騒音のエンジンやプロペラを使用することでキャビンの居住性は大幅に向上した。
胴体は延長されて横4列で50席クラスとなり、ボンバルディアDHC-8-300やサーブ2000などのライバル機と販売合戦を繰り広げた。
本機種も数多くの受注を集めたものの、フォッカー社の倒産により1990年代後半に製造終了となってしまった。
日本では1991年に中日本航空から独立してコミューター運航を始めた中日本エアラインサービス(ALS)が本機種を導入した。
名古屋小牧空港を拠点として4機が日本各地に翼を広げ、これまで19席クラスが主流であったコミューターエアラインに新風を吹き込んだ。
機首のレドームを赤く塗ったカラーリングは「赤い鼻のポチ」として人気者となった。
2005年のセントレア開港を控えてALSはANAの子会社「エアーセントラル」となり、本機種もANAグループのトリトンブルーに塗り替えられた。
その後、グループの機種統一によりDHC-8-400にリプレースされることになり、2009年をもって惜しまれながら引退となった。

FOKKER F-50 (JA 8889) 現行塗装
登録記号 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
備考 |
JA 8200 |
F-27-050 |
20307 |
1995.12 |
2009.03 |
売却 現トランスヌサ航空 PK-TNS |
JA 8875 |
F-27-050 |
20196 |
1990.11 |
2007.01 |
売却 現CAAアフリカ航空 9Q-CJB |
JA 8889 |
F-27-050 |
20259 |
1992.08 |
2008.08 |
売却 現アマポラ航空 SE-LJY |
JA 01NV |
F-27-050 |
20257 |
2001.12 |
2009.03 |
購入 エアノストラム EC-JHB 1992年製造
売却 現エアロモンゴリア JU-8257 |
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F-50 (国内線) |
全長 |
25.3 m |
全幅 |
29.0 m |
全高 |
8.8 m |
巡航速度 |
522 km/h |
航続距離 |
2,055 km |
最大離陸重量 |
19.9 t |
エンジン |
PWC PW125B 2,500 SHP ×2 |
座席数 |
Y56 |

FOKKER F-50 (JA 8875) 中日本エアラインサービス
「ANA SKY STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
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