ANA B727-100 (1964〜1974)


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機種概要

B727-100は、ボーイング社が開発した短中距離用の小型三発機である。
長距離用B707の成功を受けて本格的なジェット機の時代が始まり、ローカル線へ向けて新しく設計された。
B707と共通の胴体を短縮し、T字尾翼を採用して3基のエンジンをリアマウントでまとめて取り付けるスタイルを取った。
離着陸性能を稼ぐためにパワーウェイトレシオが高く、旅客機としては猛烈な離陸上昇から「空飛ぶスポーツカー」と呼ばれて人気者になった。
しかしながら同規模の双発機B737-200が開発されると経済性で見劣りし、受注・販売はストレッチ型の200型に移行した。

1964年に、ANAは日本で初めて本機種をリース導入して日本の空にデビューさせ、大躍進のきっかけを作った。
ジェットフリートを持っていなかったANAは、翌年の初号機納入を待ちきれずライバルであるJALより先行すべく奇襲に出たのだ。
自社発注機が就航すると国内の幹線は一気にジェット化が進められることになり、特に東京−大阪線では史上最速の26分という記録を樹立した。
スピード感にあふれながらもDC-8やコンベア880よりもはるかに静かで、「セブン・ツー・セブン」としてたくさんの人に親しまれた。
しかし、これほどの人気がありながらも全日空の主力として長期間にわたって活躍するというわけではなかった。
本機種は完成度も高く扱いやすい機材であったが、後に導入されたB727-200とB737-200リプレースされて10年でフリートから姿を消した。
末永く使われた後継の両機種に挟まれて居場所がなくなった形の退役であったが、本機種なしでは今のANAは絶対にあり得ないだろう。


全日空 B727-100
BOEING B727-81 (JA 8303) 旧塗装

フリートリスト
登録記号 型式 製造番号 登録年月 抹消年月 備考
JA 8301 B727-81 18821/124 1965.03 1972.05 売却 アラスカ航空 N124AS 事故抹消
JA 8302 B727-81 18822/126 1965.03 1966.02 事故抹消 1966.02.04
羽田空港着陸進入中に墜落
JA 8303 B727-81 18823/135 1965.04 1973.02 売却 ホンジュラス航空 HR-SHE 整備保存
JA 8305 B727-81 18919/163 1965.07 1972.11 売却 ブルーエアライン9Q-CDM 整備保存
JA 8306 B727-81 18920/174 1965.08 1972.11 売却 SUCEFA N63584 整備保存
JA 8316 B727-81 18951/237 1966.03 1973.03 売却 トロスエア N3211M 地上訓練機
JA 8317 B727-81 18952/306 1966.08 1972.12 売却 エクスプレスワン N110NE 解体
JA 8321 B727-81 19557/405 1967.05 1972.09 売却 イラン空軍 EP-GDS 博物館展示
N 68650 B727-22 18295/4 1964.04 1965.04 短期リース ユナイテッド航空 N68650
ピードモント航空 N68650 事故抹消
N 972PS B727-14 18910/159 1973.01 1974.03 短期リース PSA N972PS
ノースウエスト航空 N460US 地上訓練機
N 974PS B727-14 18912/169 1969.02 1970.01 短期リース PSA N974PS
現メキシコ空軍 3501 (XC-FAD)
N 975PS B727-14 18990/238 1969.04 1974.03 短期リース PSA N975PS ラストフライト機
現ブルキナファソ政府 XT-BBE

スペック
B727-100 (国内線)
全長 40.6 m
全幅 32.9 m
全高 10.4 m
巡航速度 880 km/h
航続距離 3,100 km
最大離陸重量 68.9 t
エンジン PW JT8D-1 6,350 kg ×3
座席数 Y129

塗装バリエーション
全日空 B727-100
BOEING B727-81 (JA 8301) 初代塗装

参考文献

「ANA SKY STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年


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