B737-200は、ボーイング社が開発した短距離用の小型双発機である。
B707、B727に続くジェット旅客機シリーズの第三作として、短中距離の市場を席巻していたB727よりも小さなセグメントを狙うべく誕生した。
これまでに実績のあるボディを短縮して100〜120席クラスとして、JT8Dエンジンをウイングマウントで搭載した。
また、100席以上のクラスでは機長と副操縦士の2名で運航される初めての機種となった。
機内はライバルのDC-9より広く3-3の6列配置で、各部の設計に余裕があったことから航続距離延長型も生産された。
ANAとして初めてのジェット機であるB727-100が就航してまもない1969年、ローカル線のための機材として本機種はデビューを飾った。
ほぼ同時に幹線でデビューした三発の兄貴分、B727-200とともにANAの成長期を支えてきたフリートだ。
B727-100と同等のキャパシティを持ちながら、1500mという短い滑走路で離着陸できる性能を誇る本機種は、これまでターボプロップ機で運航されてきたローカル線の機材大型化に貢献した。
また、1983年にはANAの子会社である日本近距離航空(現エアーニッポン)で初めてのジェット機材としてJA8413が移籍して大活躍を始めた。
1980年代後半になると、日本近距離航空は長距離国内線も運航するようになり「エアーニッポン」と社名を変更した。
合わせてANAから次々に移籍して、次第に「ANAグループの小型機運航会社」としての地位を確立していった。
しかし、1990年代に入ると後継機として導入された「新世代小型機」のA320やB737-500に道を譲り、静かに表舞台から降りた。
さらに1990年代後半には騒音規制も厳しくなり、導入当初からのライバルであったJASのDC-9-41の後を追うように、2000年の秋に大勢のファンに見送られて日本の空を離れていった。
また、ANAグループの本機種は31年間の在籍で1機たりとも全損事故を起こしておらず、まさに日本の航空安全における金字塔である。
BOEING B737-281A (JA 8415) エアーニッポン
登録記号 |
運航会社 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
エンジン |
備考 |
JA 8401 |
ANA |
B737-281 |
20226/168 |
1969.05 |
1976.04 |
7 |
売却 チャイナエアライン B-1870 事故抹消 |
JA 8402 |
ANA |
B737-281 |
20227/178 |
1969.06 |
1976.04 |
7 |
売却 コパ航空 N503EV 整備保存 |
JA 8403 |
ANA |
B737-281 |
20276/231 |
1970.01 |
1976.02 |
7 |
売却 現コンゴ航空 9Q-CSV |
JA 8405 |
ANA |
B737-281 |
20277/235 |
1970.01 |
1976.04 |
7 |
売却 ヌエヴォコンチネンテ OB-1746P 整備保存 |
JA 8406 |
ANA |
B737-281 |
20413/241 |
1970.02 |
1979.05 |
7 |
売却 アルキア航空 4X-BAF 整備保存 |
JA 8407 |
ANA |
B737-281 |
20414/244 |
1970.03 |
1979.11 |
7 |
売却 パームエア N219US 整備保存 |
JA 8408 |
ANA |
B737-281 |
20449/259 |
1970.06 |
1979.08 |
7 |
売却 シエラパシフィック N772S 解体 |
JA 8409 |
ANA |
B737-281 |
20450/262 |
1970.07 |
1992.06 |
9A |
売却 PMTエア XU-U4B 整備保存 |
JA 8410 |
ANA |
B737-281 |
20451/266 |
1970.09 |
1992.09 |
9A |
売却 イラク航空 YI-AOF 整備保存 |
JA 8411 |
ANA |
B737-281 |
20452/270 |
1970.11 |
1992.09 |
9A |
売却 センパチ航空 PK-JHE 解体 |
JA 8412 |
ANA |
B737-281A |
20506/280 |
1971.05 |
1992.07 |
9A |
売却 プーケット航空 HS-VKU 整備保存 |
JA 8413 |
ANK |
B737-281A |
20507/282 |
1971.06 |
1993.11 |
9A |
売却 プーケット航空 HS-AKO 整備保存 |
JA 8414 |
ANA |
B737-281A |
20508/287 |
1971.10 |
1992.12 |
9A |
売却 センパチ航空 PK-JHF 事故抹消 |
JA 8415 |
ANK |
B737-281A |
20561/292 |
1972.04 |
1997.04 |
17 |
売却 アルゼンチン航空 LV-WTX 博物館展示 |
JA 8416 |
ANK |
B737-281A |
20562/293 |
1972.04 |
1997.02 |
17 |
売却 エアコメットチリ CC-CSK 整備保存 |
JA 8417 |
ANK |
B737-281A |
20563/296 |
1972.03 |
2000.06 |
17 |
売却 ウエストジェット C-GGOF 整備保存 |
JA 8452 |
ANK |
B737-281A(ER) |
21766/583 |
1979.07 |
1999.03 |
17 |
売却 現バタヴィア PK-YTR |
JA 8453 |
ANK |
B737-281A(ER) |
21767/585 |
1979.07 |
2000.09 |
17 |
売却 バタヴィア PK-YTQ 整備保存
ANAラストフライト機 |
JA 8454 |
ANK |
B737-281A(ER) |
21768/586 |
1979.07 |
1999.10 |
17 |
売却 現アエロスール CP-2484 |
JA 8455 |
ANK |
B737-281A(ER) |
21769/587 |
1979.07 |
1998.11 |
17 |
売却 現アエロスール CP-2486 |
JA 8456 |
ANK |
B737-281A(ER) |
21770/588 |
1979.07 |
2000.11 |
17 |
売却 現アエロガル HC-CFG
ANKラストフライト機 |
JA 8457 |
ANK |
B737-281A(ER) |
21771/594 |
1979.09 |
1998.09 |
17 |
売却 現アエロスール CP-2476 |
N 379PS |
ANA |
B737-214 |
19682/78 |
1973.04 |
1974.05 |
9 |
短期リース PSA N379PS
コンチネンタル航空 N10238 解体 |
|
B737-200A (国内線) |
B737-200 (国内線) |
全長 |
30.5 m |
全幅 |
28.4 m |
全高 |
11.3 m |
巡航速度 |
820 km/h |
航続距離 |
1,700 km |
最大離陸重量 |
50.0 t |
49.4 t |
エンジン |
PW JT8D-17 7,270 kg ×2 |
PW JT8D-9A 6,580 kg ×2 |
PW JT8D-7 6,360 kg ×2 |
座席数 |
Y126 |
BOEING B737-281 (JA 8409) 全日空
BOEING B737-281 (JA 8401) 全日空旧塗装
BOEING B737-281A (JA 8413) 日本近距離航空
「ANA SKY STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年 「新・旅客機型式シリーズ3 日本のBoeing 737」 イカロス出版 2008年
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