DHC-8-300は、カナダのボンバルディア社が開発した双発ターボプロップ旅客機である。
デハビランド・カナダの前作であるSTOL四発ターボプロップ旅客機のDHC-7に代わるモデルとして開発がスタートした。
DHC-7だけでなく、同クラスのフォッカーF27フレンドシップやYS-11の後継として導入したエアラインも多い。
本機種はDHC-8シリーズの基本型である100型の胴体を5.1m延長し、エンジンの出力は増えた機体重量に合わせて強化されている。
胴体の延長によりキャパシティが50〜56席クラスとなった本機種は、1200m滑走路で運用できる離着陸性能と合わせて使い勝手のよい機種として世界中で運航されている。
一方でコクピットやキャビンを含む機体システムは100型と共通性が高く、操縦資格が同一のため混成フリートでの運用も一般的だ。
ANAグループでは、エアーニッポン(ANK)がYS-11の後継として5機を発注して羽田発着の伊豆諸島路線と丘珠発着路線に投入した。
その後、プロペラ機の運航は新しく設立されたエアーニッポンネットワーク(AKX)に移管されている。
塗装は1機ごとに異なるフラワーカラーが施され、椿・ひまわり・すずらん・コスモス・はまなすの花が空港に咲き誇っていた。
しかし現在はANAグループのブランド統一に伴って、兄貴分のDHC-8-400と同じトリトンブルーに塗り替えられている。
機内はモノクラス56席で、右側最前列がボックスシートのようになっているのが特徴的である。
2010年7月からの丘珠空港撤退に伴い活躍の拠点を伊丹空港へ移しているが、運航わずか10年ほどで機材整理により退役が進められた。
最後に羽田−三宅島線の路線維持のため1機が残っていたが、ついに2014年3月をもって運航が調布発着の新中央航空に引き継がれ完全引退。
「Qちゃん」と呼ばれANAグループ最小の翼として活躍したことは、長く記憶にとどまることだろう。
BOMBARDIER DHC-8-Q314 (JA 801K) 現行塗装
登録記号 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
備考 |
JA 801K |
DHC-8-Q314 |
565 |
2001.03 |
2011.08 |
売却 現サンウエスト航空 C-GBOS
元「椿」 |
JA 802K |
DHC-8-Q314 |
577 |
2001.11 |
2012.07 |
売却 現アメリカ陸軍 15-0577
元「ひまわり」 |
JA 803K |
DHC-8-Q314 |
583 |
2002.04 |
2012.11 |
売却 現PALエクスプレス RP-C3020
元「すずらん」 |
JA 804K |
DHC-8-Q314 |
591 |
2003.01 |
2014.05 |
売却 現モルディブ航空 8Q-IAR
元「コスモス」 |
JA 805K |
DHC-8-Q314 |
592 |
2003.04 |
2012.02 |
売却 現ヴィデロー航空 LN-WFU
元「はまなす」 |
|
DHC-8-300 (国内線) |
全長 |
27.4 m |
全幅 |
25.7 m |
全高 |
7.5 m |
巡航速度 |
520 km/h |
航続距離 |
1,000 km |
最大離陸重量 |
19.0 t |
エンジン |
PWC PW123B 2,150 SHP ×2 |
座席数 |
Y56 |
BOMBARDIER DHC-8-Q314 (JA 801K) つばき
BOMBARDIER DHC-8-Q314 (JA 802K) ひまわり
BOMBARDIER DHC-8-Q314 (JA 803K) すずらん
BOMBARDIER DHC-8-Q314 (JA 804K) コスモス
BOMBARDIER DHC-8-Q314 (JA 805K) はまなす
「ANA SKY STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2009-2010」 イカロス出版, 2009年
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