ANA B727-200 (1969〜1990)


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機種概要

B727-200は、ボーイング社が開発した短中距離用の小型三発機である。
長距離用B707の成功を受けて本格的なジェット機の時代が始まり、ローカル線へ向けて新しく設計された。
本機種は、初期型のB727-100をベースに胴体を約7m延長してキャパシティを180席クラスに拡大した。
これが大ヒットし、ジェット機として世界で初めて販売1000機の大台を突破し、最終的には1800機を超えるベストセラーとなった。
T字尾翼の機体に3基のエンジンをリアマウントでまとめて取り付けたスタイルが、独特のスピード感を醸し出している。

1960年代末に国内線のジェット化でJALと熾烈な競争を繰り広げていたANAは、フラッグシップとして1969年から本機種を導入した。
手頃なキャパシティと、当時JALが国内線に投入していた初期型DC-8をはるかにしのぐ経済性で一気に国内線の主役に躍り出た。
自社で発注した27機に加えて、アメリカのPSA航空から6機を短期リースして大フリートを形成し、ANAのイメージ定着に大きく貢献した。
しかし、ANAは機材のさらなる大型化のためにL1011トライスターとB747SRを導入したため、フラッグシップだったのはわずか4年間にとどまった。
それでもL1011やB747SRをサポートする傍らで、B737-200とともにTDAの独壇場だったローカル線にも殴り込み、現在までつながる広範囲な国内線ネットワークを築き上げていった名機となった。
1980年代に入りハイテク・セミワイドボディのB767-200が導入されるとANAのフリートからは姿を消し始め、最終的にはA320と入れ替わる形で1990年にラストフライトとなった。
引退から20年になろうとする今でも、A321と並んで「トリトンブルーが一番似合う飛行機」として本機種の人気は衰えを見せない。


全日空 L-1011
BOEING B727-281A (JA 8343)

フリートリスト
登録記号 型式 製造番号 登録年月 抹消年月 備考
JA 8328 B727-281 20435/787 1971.02 1980.02 売却 MIATモンゴル航空 JU-1054 整備保存
JA 8329 B727-281 20436/788 1971.03 1971.08 事故抹消 1971.07.30
岩手・雫石上空で航空自衛隊機と空中衝突
JA 8330 B727-281 20468/849 1971.05 1980.02 売却 ペガサス航空 N904PG 整備保存
JA 8331 B727-281 20469/852 1971.05 1980.12 売却 大韓航空 HL7350 事故抹消
JA 8332 B727-281 20466/865 1971.06 1980.10 売却 貨物機B727-281SFに改修
現サフエア ZS-PDL
JA 8333 B727-281 20467/866 1971.06 1984.07 売却 USエアウェイズ N740US 解体
JA 8334 B727-281 20509/867 1971.05 1984.04 売却 USエアウェイズ N741US 解体
JA 8335 B727-281 20285/868 1971.08 1984.08 売却 レーカー航空 N743US 解体
JA 8336 B727-281 20286/875 1972.05 1984.01 売却 アメリカ連邦保安官 N7128T 解体
JA 8337 B727-281 20510/876 1972.05 1983.12 売却 USエアウェイズ N745US 解体
JA 8338 B727-281 20568/878 1972.04 1983.11 売却 USエアウェイズ N746US 解体
JA 8339 B727-281 20569/879 1972.03 1984.03 売却 USエアウェイズ N747US 解体
JA 8340 B727-281 20570/880 1972.03 1984.02 売却 USエアウェイズ N748US 解体
JA 8341 B727-281 20571/884 1972.04 1984.11 売却 貨物機B727-281SFに改修
ペガサス航空 N905PG 整備保存
JA 8343 B727-281A 20572/881 1972.06 1989.04 売却 現ネーションワイドエアチャーター ZS-OZP
JA 8344 B727-281A 20573/888 1972.06 1989.07 売却 現ネーションワイドエアチャーター ZS-OZR
JA 8345 B727-281A 20724/954 1973.07 1986.11 売却 サーヴィヴェンサ YV-92C 整備保存
JA 8346 B727-281A 20725/958 1973.07 1984.09 売却 貨物機B727-281SFに改修
現カスタムエアトランスポート N902PG
JA 8347 B727-281A 20726/962 1973.08 1987.09 売却 ドミニカーナ航空 HI-617CA 事故抹消
JA 8348 B727-281A 20727/966 1973.08 1987.10 売却 アベンサ航空 YV-96C 解体
JA 8349 B727-281A 20728/969 1973.09 1989.09 売却 現エアサントドミンゴ N906PG
JA 8350 B727-281A 20876/1026 1974.04 1987.05 売却 サーヴィヴェンサYV-843C 解体
JA 8351 B727-281A 20877/1029 1974.04 1987.06 売却 アベンサ航空 YV-94C 整備保存
JA 8352 B727-281A 20878/1034 1974.05 1987.09 売却 アベンサ航空 YV-95C 解体
JA 8353 B727-281A 21455/1316 1978.02 1990.01 売却 貨物機B727-281SFに改修
現ケロウナエアチャーター C-GKFJ
JA 8354 B727-281A 21456/1318 1978.02 1990.04 売却 DVエアフレイトサービス N252RL
JA 8355 B727-281A 21474/1378 1978.08 1990.05 売却 ビジネス機に改修 N724YS
ラストフライト機
N 384PS B727-254 20437/798 1970.03 1975.03 短期リース PSA N384PS
USエアシャトル N916TS 解体
N 535PS B727-214 20161/714 1969.09 1970.01 短期リース PSA N535PS
USエアウェイズ N718US 解体
N 536PS B727-254 20438/799 1970.04 1975.04 短期リース PSA N536PS
USエアシャトル N912TS 解体
N 547PS B727-254 20250/781 1969.12 1975.12 短期リース PSA N547PS
USエアシャトル N913TS 解体
N 548PS B727-254 20251/782 1970.01 1976.01 短期リース PSA N548PS
USエアシャトル N914TS 解体
N 549PS B727-254 20252/783 1970.01 1974.05 短期リース PSA N549PS
USエアシャトル N915TS 解体

スペック
B727-200 (国内線)
全長 46.7 m
全幅 32.9 m
全高 10.5 m
巡航速度 880 km/h
航続距離 2,170 km
最大離陸重量 78.2 t
エンジン PW JT8D-9 6,580 kg ×3
座席数 Y178

塗装バリエーション
全日空 B737-200
BOEING B727-281 (JA 8328)

参考文献

「ANA SKY STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年


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