ANA L-1011 TRISTAR (1974〜1995)


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機種概要

L-1011トライスターは、アメリカの航空機メーカーであるロッキード(現ロッキードマーチン)が開発した、中距離用の中型三発機である。
非常に似通った機体構成のマクドネルダグラス(現ボーイング)DC-10とは、世界中で熾烈な受注争いを繰り広げたライバルであった。
センターエンジンは垂直尾翼の前からS字ダクトを通して空気を吸い込む形で、これがDC-10と対照的に女性的なフォルムを生み出している。
結果的に250機で生産終了となりロッキードも旅客機市場から撤退してしまったが、視界ゼロでも着陸できる自動操縦など当時では群を抜いたハイテク装備を誇っていた。

1974年に、ANAは初めてのワイドボディ機として本機種を国内幹線に投入して、ボーイングB747SRで先行するJALを一気に追撃した。
トライスターは全部で21機が導入され、幹線だけでなく東京−鹿児島・小松などの「ビームライン」と呼ばれる高需要ローカル線にも次々に就航した。
これまでのB727-200からは一気にキャパシティは倍になり、通路2本の広い機内は乗客にも好評であった。
しかし、旅客需要はANAが予想していた以上に伸びたことで、ANAもさらに大型のB747SRを導入することになった。
1979年からB747SRが就航したことで本機種はフラッグシップの座を退き、半数は売却されて残りはローカル線の機材大型化に貢献することとなった。
このままひっそりとANAでの使命を終えるかと思われたが、トリトンブルーに生まれ変わった後の1986年に再びスポットライトを浴びることになる。
45/47体制が崩壊してANAも国際定期便に進出できることになり、記念すべき初の国際線機材として本機種が選ばれた。
国際線をエースとして思う存分に飛び回り、1機も事故で失われることなく最後は国内線に戻って1995年11月にJA8509がラストフライト。
21年の運航に終止符を打ち、翌月から就航する最新鋭機材B777-200にバトンを渡して日本から旅立った。


全日空 L-1011
LOCKHEED MARTIN L-1011-385-1 (JA 8509)

フリートリスト
登録記号 型式 製造番号 登録年月 抹消年月 備考
JA 8501 L-1011-385-1 1053 1973.12 1981.03 売却 スリランカ航空 4R-ULC 整備保存
JA 8502 L-1011-385-1 1061 1974.01 1982.03 売却 スリランカ航空 4R-ULD 事故抹消
JA 8503 L-1011-385-1 1062 1974.02 1983.03 売却 スリランカ航空 4R-ULE 整備保存
JA 8505 L-1011-385-1 1068 1974.03 1983.03 売却 ADCエアラインズ 5N-BBB 解体
JA 8506 L-1011-385-1 1070 1974.04 1985.02 売却 オリエントタイ航空 XU-900 整備保存
JA 8507 L-1011-385-1 1082 1974.06 1985.03 売却 アメリカントランスエア N197AT 整備保存
JA 8508 L-1011-385-1 1099 1974.12 1995.05 売却 エアトランサット C-FWCR 整備保存
JA 8509 L-1011-385-1 1100 1975.01 1995.12 売却 リッチインターナショナル航空 N312GB 整備保存
ラストフライト機
JA 8510 L-1011-385-1 1103 1975.04 1985.04 売却 グローブジェット OD-HEO 整備保存
JA 8511 L-1011-385-1 1105 1975.04 1985.05 売却 リッチインターナショナル航空 N765BE 整備保存
JA 8512 L-1011-385-1 1112 1975.05 1985.10 売却 リッチインターナショナル航空 N766BE 整備保存
JA 8513 L-1011-385-1 1113 1975.05 1985.09 売却 リッチインターナショナル航空 N764BE 整備保存
JA 8514 L-1011-385-1 1117 1975.06 1993.03 部品取りのため解体
JA 8515 L-1011-385-1 1119 1975.07 1993.03 部品取りのため解体
JA 8516 L-1011-385-1 1127 1975.12 1993.12 売却 リッチインターナショナル航空 N305GB 解体
JA 8517 L-1011-385-1 1128 1975.12 1993.10 部品取りのため解体
JA 8518 L-1011-385-1 1129 1976.04 1993.11 売却 ビスミラ航空 S2-ADR 整備保存
JA 8519 L-1011-385-1 1134 1976.05 1994.01 売却 リッチインターナショナル航空 N300AW 整備保存
JA 8520 L-1011-385-1 1154 1978.06 1993.09 部品取りのため解体
JA 8521 L-1011-385-1 1155 1978.07 1995.11 売却 リッチインターナショナル航空 N310GB 整備保存
JA 8522 L-1011-385-1 1156 1978.08 1995.10 売却 エアラム 9L-LFB 整備保存

スペック
L-1011 (国際線) L-1011 (国内線)
全長 54.2 m
全幅 47.3 m
全高 16.9 m
巡航速度 890 km/h
航続距離 5,000 km
最大離陸重量 195.0 t
エンジン RR RB211-22B 19,050 kg ×3
座席数 256
(F20 C47 Y189)
Y326

塗装バリエーション
全日空 B737-200
LOCKHEED MARTIN L-1011-385-1 (JA 8501) 旧塗装

参考文献

「ANA SKY STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
「旅客機型式シリーズ1 DC-10/MD-11 & L-1011」 イカロス出版 2000年


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