ボーイングB747は、アメリカの航空機メーカーであるボーイングが開発した長距離用の大型4発機である。
飛行機ファンならずとも、「ジャンボジェット」として旅客機の代名詞になり世界中で非常に有名な機体となった。
機体前方を2階建て構造としてコクピットを2階部分へ移したため、独特なフォルムをしている。
これは元々が大型貨物輸送機として開発が始まり、長尺貨物を機首から搭載できるように設計したためである。
通称「コブ」と呼ばれる2階部分が小さいオリジナルタイプは、初期型の100型、性能を向上した200型、日本国内線の短距離運用に特化したSR型に分けられる。
1978年、国内線専門の航空会社として成長中のANAはL1011トライスターより大型の機材が必要になったため、JALに続いてSR型を導入した。
史上初の500人乗り旅客機として鳴り物入りでデビューしたSR型は、その後ANAの国内幹線を一手に受け持つフラッグシップとして「スーパージャンボ」の名に恥じぬ大活躍をしてきた。
1985年、ANAを国内線に縛り付けていた「45・47体制」が崩壊すると、近距離国際線に投入するためにSR型のうち2機がエンジン換装・燃料タンク増設などの改修を受けた。
そのうちJA8157は機内も国際線仕様になり、国際定期便機材としてシドニーやグアム、香港などに翼を広げた。
さらにANAはアメリカ本土への進出のため、1986年に本格的な長距離機材として200型を「747LR」の名称で導入し、鮮烈なデビューを飾った。
新世代化された400型/400D型が増えてきた1990年代中頃にはSRは海外への売却が始まり、200型は貨物機に改修されてNCA(日本貨物航空)に移籍し、機材の世代交代が急速に進んでいった。
国際線での活躍を終えて国内線に投入されるようになった2機の200型とともに最後の活躍を続けたSR型は、2006年3月10日にかつて世界を飛び回ったエース機8157がラストフライト、27年間の運航を無事故で終えた。

BOEING B747-281B (JA 8175) 現行塗装
登録記号 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
エンジン |
備考 |
JA 8133 |
B747SR-81 |
21604/346 |
1978.12 |
1994.12 |
45A2 |
売却 カタール航空 A7-ABK 解体 |
JA 8134 |
B747SR-81 |
21605/351 |
1978.12 |
1995.02 |
45A2 |
売却 カタール航空 A7-ABL 解体 |
JA 8135 |
B747SR-81 |
21606/360 |
1979.03 |
1999.11 |
45A2 |
売却 アトラスエア N8078M 解体 |
JA 8136 |
B747SR-81 |
21922/393 |
1979.10 |
1999.01 |
45A2 |
売却 アトラスエア N8078H 解体 |
JA 8137 |
B747SR-81 |
21923/395 |
1979.09 |
1999.02 |
45A2 |
売却 アトラスエア N8078Q 解体 |
JA 8138 |
B747SR-81 |
21924/420 |
1980.01 |
2001.10 |
45A2 |
売却 アトラスエア N1924N 解体 |
JA 8139 |
B747SR-81 |
21925/422 |
1980.02 |
2002.02 |
45A2 |
売却 ボーイング N73795 解体
元「スヌーピー号97」 |
JA 8145 |
B747SR-81 |
22291/453 |
1980.05 |
2002.09 |
45A2 |
売却 ボーイング N215BA 解体 |
JA 8146 |
B747SR-81 |
22292/456 |
1980.06 |
2003.07 |
45A2 |
売却 ボーイング N292BA 解体 |
JA 8147 |
B747SR-81 |
22293/477 |
1980.11 |
2004.05 |
45A2 |
売却 ボーイング N219BA 解体 |
JA 8148 |
B747SR-81 |
22294/481 |
1980.11 |
2004.11 |
45A2 |
売却 ボーイング N243BA 整備保存 |
JA 8152 |
B747SR-81 |
22594/511 |
1981.06 |
2004.09 |
45A2 |
売却 ボーイング N238BA 解体 |
JA 8153 |
B747SR-81 |
22595/516 |
1981.05 |
2004.10 |
45A2 |
売却 ボーイング N245BA 整備保存 |
JA 8156 |
B747SR-81 |
22709/541 |
1982.07 |
2004.07 |
50E2 |
売却 ボーイング N233BA 解体 |
JA 8157 |
B747SR-81 |
22710/544 |
1982.06 |
2006.03 |
50E2 |
売却 ボーイング N288BA 整備保存
SR型ラストフライト機 |
JA 8158 |
B747SR-81 |
22711/559 |
1982.06 |
1993.12 |
50E2 |
貨物機 B747SR-81Fに改修
国内移籍 日本貨物航空 JA8158 |
JA 8159 |
B747SR-81 |
22712/572 |
1983.07 |
2005.05 |
45A2 |
売却 ボーイング N248BA 整備保存
SR型製造最終号機 |
JA 8174 |
B747-281B |
23501/648 |
1986.06 |
2005.11 |
50E2 |
売却 ヘレニックインペリアル航空 SX-TIC 整備保存 |
JA 8175 |
B747-281B |
23502/649 |
1986.07 |
2006.02 |
50E2 |
売却 ヘレニックインペリアル航空 SX-TID 整備保存
200型ラストフライト機 |
JA 8181 |
B747-281B |
23698/667 |
1986.12 |
1999.05 |
50E2 |
貨物機 B747-281SFに改修
国内移籍 日本貨物航空 JA8181 |
JA 8182 |
B747-281B |
23813/683 |
1987.07 |
1999.05 |
50E2 |
貨物機 B747-281SFに改修
国内移籍 日本貨物航空 JA8182 |
JA 8190 |
B747-281B |
24399/750 |
1989.08 |
2002.04 |
50E2 |
貨物機 B747-281SFに改修
国内移籍 日本貨物航空 JA8190
200型(旅客)製造最終号機 |
JA 8192 |
B747-2D3B |
22579/514 |
1990.11 |
1997.08 |
50E2 |
購入 ブリティッシュエアウェイズ G-CITB 1981年製造
貨物機 B747-2D3SFに改修
国内移籍 日本貨物航空 JA8192 |
|
B747-200B (国際線) |
B747SR
(国際線) |
B747SR
(国内線機) |
全長 |
70.7 m |
全幅 |
59.6 m |
全高 |
19.3 m |
巡航速度 |
900 km/h |
880 km/h |
航続距離 |
11,700 km |
2,590 km |
最大離陸重量 |
377.8 t |
340.5 t |
263.9 t |
エンジン |
GE CF6-50E2 23,810 kg ×4 |
GE CF6-45A2 21,090 kg ×4 |
座席数 |
456 (F18 Y438) |
455 (F20 Y435) |
536 (F20 Y516) |

BOEING B747SR-81 (JA 8157) 全日空ロゴ国際線仕様

BOEING B747SR-81 (JA 8134) 旧塗装
Part 1 (JA 8145, 8148, 8148, 8152)
Part 2 (JA 8153, 8156, 8157)
Part 3 (JA 8159, 8174, 8175)
「ANA SKY STORY」 イカロス出版, 2009年
「日本のエアライン2006-2007」 イカロス出版, 2006年
「新・旅客機型式シリーズ4 日本のBoeing 747 Classic」 イカロス出版 2008年
写真・イラストについては著作権のみ保持しますが、利用についての制限は設けません。
正確な情報を掲載するよう心がけておりますが、誤りがあれば報告していただければ幸いです。
|