A330-300は、ヨーロッパのエアバスインダストリーが開発した中長距離向けの中型双発機である。
前身となるA300の成功を受けて、大型化するため胴体を延長するA300B9計画にルーツを発する。
A300と共通の胴体を約9m延長し、新世代エンジンとウィングレット、さらにA320で実用化したフライバイワイヤのコクピットを採用し新機種として誕生した。
超長距離向けの四発機A340-300とはエンジン周り以外をほぼすべて共通化し、同じ操縦資格で運航できるのも大きな特徴になっている。
1992年に初飛行、1995年に初就航した本機種は、最大のライバルであるアメリカのボーイングB777-200とともに双発機の活動範囲を大きく広げてきた。
そして継続的な改良により航続距離を伸ばした300X型と300E型が開発されると、燃料高騰も相まってA340から本機種へのシフトも進んだ。
最終的にA340は生産終了になり、本機種と新型機A350XWBがエアバスの中型機ラインナップを担うこととなる。
A330は世界的には非常にメジャーな機種であったが、ボーイングとの結びつきが強い日本では導入する航空会社はこれまでなかった。
しかし初就航から19年を経た2014年、初めてのA330オペレーターになったのがスカイマーク(SKY)である。
以前B767-300を幹線用に運航していたSKYであるが、一時期は小型機のB737-800で機種を統一していた。
拠点とする羽田空港の発着枠は拡張により大幅に増えたものの相変わらず逼迫し、1フライトあたりの輸送力を強化する必要に迫られていた。
中型機の選定にあたり、国際線向けに発注していたA380(後にキャンセル)との共通性を重視してロールスロイスエンジンの本機種が選ばれた。
機内は全席を「グリーンシート」と呼ぶプレミアムエコノミーで271席配置とし、先行する大手2社との差別化を図っている。
A380は財務状況悪化によりキャンセルとなってしまったが、本機種は長距離路線にも対応できる300E型であるため、国際線への投入も考えられている。
経営を立て直して本機種で国際線のノウハウを積み上げ、満を持して再びA380を導入する日を待ちたい。
AIRBUS A330-343E (JA 330A) 現行塗装
登録記号 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
座席仕様 |
備考 |
JA 330A |
A330-343E |
1483 |
2014.02 |
2015.03 |
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売却(情報収集中) |
JA 330B |
A330-343E |
1491 |
2014.02 |
2015.03 |
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売却(情報収集中) |
JA 330D |
A330-343E |
1542 |
2014.07 |
2015.03 |
|
売却(情報収集中) |
JA 330E |
A330-343E |
1554 |
2014.09 |
2015.03 |
|
売却(情報収集中) |
JA 330F |
A330-343E |
1574 |
2014.11 |
2015.03 |
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売却(情報収集中) |
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A330-300 |
全長 |
63.7 m |
全幅 |
60.3 m |
全高 |
16.8 m |
巡航速度 |
871 km/h |
航続距離 |
11,100 km |
最大離陸重量 |
230.0 t |
エンジン |
RR Trent772B-60 32,250 kg ×2 |
座席数 |
P271 |
「日本のエアライン2014-2015」 イカロス出版, 2014年
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