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BOEING B777-200 / 200ER / 200LR

B777-200はアメリカの航空機メーカー、ボーイングが開発した中大型双発機B777シリーズの基本モデルである。
B767-300B747-400の間を埋めるキャパシティの機材として「767-X」の名前で市場調査が進められ、
1990年にユナイテッド航空からの発注を得てプログラムが始まった。
スタイルはB767-200を相似的に拡大したようなウィングマウント双発であるが、
巨大なハイパワーエンジンとシャープな尾翼周りが特徴的な機体である。
双発でありながら全長63mというサイズは三発機のDC-10やL-1011トライスターを上回り、
同クラスのライバル機であるエアバスA330とともに大型双発機の時代を切り開く存在となった。

通常型の初飛行は1994年でその後テストフライトを順調にこなし、
1995年にはローンチカスタマーのユナイテッド航空に初号機が納入された。
標準型は300〜350席のキャパシティと7000kmの航続距離を備え、
L-1011トライスターの後継として短中距離路線を中心に活躍している。
続いて航続距離を伸ばした200ER型が1997年にブリティッシュエアウェイズへ納入され、
投入できる路線の幅広さから現在では通常型よりもこちらの発注が主流となっている。
このER型は航続距離が13000kmを超え、
これまで三発機のDC-10やMD-11が担っていたエリアに切り込むと同時に、
卓越した経済性を武器に三発機を貨物機改修へと追いやる結果となった。
航続距離延長の要望はさらに留まるところを知らず、3番目のモデルとして200LR型がローンチした。
この200LR型は新型の大推力エンジンとレイクドウィングチップを装備し、
燃料タンクを増設して世界最長となる航続距離17000kmオーバーを実現したタイプである。
初号機は2006年にパキスタン航空に納入され、現在はこの200LRをベースとした貨物型の開発も進められている。

B777でも他の旅客機の例に漏れず、胴体延長型や短縮型の計画も提案された。
このうち延長型はB777-300(別記事で解説予定)として実現し300ER型を中心に世界中で人気機種となっているが、
短縮型のB777-100についてはB787-9との競合もありローンチはされない予定だ。
またB777は安全性への評価も非常に高く、就航から10年以上が経過するが、
全損事故は2008年1月に起きたブリティッシュエアウェイズ機のヒースロー空港墜落事故ただ1件で、
事故による死者は未だに出していないという実績を保持している。


マレーシア航空 BOEING B777-2H6ER (9M-MRE) @関西空港 2005.04.29
安全性、経済性、離着陸性能、キャビンの使い勝手、…。200ERがここまで売れた理由は挙げればきりがない。


シンガポール航空 BOEING B777-212ER (9V-SRB) @関西空港 2005.09.15
大推力の双発エンジンは、シンガポールまでの中距離フライトも1800mでエアボーンさせる。


中国南方航空 BOEING B777-21BER (B-2055) @関西空港 2005.04.29
機首に書かれた「越太平洋延程飛行」はETOPSの証。これにより三発機の存在意義は急速に薄れていった。


中国国際航空 BOEING B777-2J6 (B-2061) @関西空港 2005.04.29
「ノンER」ことB777-200通常型は、各社とも比較的高密度の座席配置で短中距離路線の輸送力アップに貢献している。


アリタリア航空 BOEING B777-243ER (I-DISA) @関西空港 2005.09.15
14000kmの航続距離をフルに活かしてヨーロッパ路線で大活躍する200ER。


エールフランス BOEING B777-228ER (F-GSPK) @関西空港 2005.11.23
ライバルのA330とともに、大型双発機がひときわ存在感を見せる関西空港。


アシアナ航空 BOEING B777-28EER (HL 7596) @関西空港 2005.09.15
B747-400の貨物機改修を進めるアシアナでは、長距離路線に投入されることが多いB777-200。

B777-200 B777-200ER B777-200LR
全長 63.7 m
全幅 60.9 m 64.8 m
全高 18.5 m
巡航速度 894 km/h
航続距離 7,000 km 14,310 km 17,400 km
最大座席数 415

参考文献
青木謙知,「旅客機年鑑2008-2009」,イカロス出版,2008年
Airliners.net - Aircraft Data


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