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BOEING B767-300 / 300ER

B767-300はアメリカの航空機メーカー、ボーイングが開発した中型双発機
B767シリーズのストレッチ(胴体延長)モデルである。
基本型であるB767-200(別記事で解説)の胴体を約7m延長して座席数を250〜300席とした機体で、
1983年に日本航空の発注により計画がローンチした。
双発ウイングマウントでこれといった外観的特徴もなく地味な存在であるが、
短距離から長距離まで幅広くカバーできる万能機として世界各国で活躍している。

1985年、通常型の試作初号機(のちのJA8236)が初飛行に成功し、順調にテストフライトを進めて
翌1986年には製造2号機にあたるJA8234が日本航空に初めて納入された。
通常型は2000m滑走路で運用できる離着陸性能と6000km程度の航続性能を兼ね備え、
短中距離路線の切り札的存在となった。

続いて主翼中央部と水平尾翼に燃料タンクを増設しエンジンをパワーアップした300ER型が登場し、
初号機は1988年にアメリカン航空へ納入された。
300ER型は離着陸性能をそのままに11000kmもの航続距離を手に入れ、
通常型に代わって非常に多くの発注を集めベストセラーとなっている。
また燃費と航続距離を改善する目的でブレンディッドウィングレットの後付け改修が検討され、
アメリカン航空の発注によってローンチして現在テストフライトが進められている。
このウィングレットはB737新世代・次世代とB757に採用されたものと同じタイプの大型版である。

ちなみにB767-300のドア配置には3種類が存在する。
機体最前方と最後方のサービスドアは共通で、主翼上に非常口窓が片側2カ所ずつのものが通常タイプ。
オプションタイプは主翼前にサービスドア・主翼上に非常口窓を持つものと
主翼前にサービスドア・主翼後に非常口ドアを持つものの2種類だ。
特に後者では横8列の高密度座席配置が可能になり、ヨーロッパのチャーターエアラインを
中心に採用されている(日本ではスカイマークが4機採用)。

ボーイングでは後継となるB787がローンチしたことによりB767の生産は終息に向かいつつあり、
現在では300ER型のみが製造されている。
しかしながらB787はスケジュールが大幅に遅れているため、
今後数年はその穴埋め需要があり生産が続くと予想されている。


中国国際航空 BOEING B767-3J6 (B-2557) @関西空港 2005.09.15
「空飛ぶカローラ」と呼ばれるまでにポピュラーになったのは、取り回しのいいキャパシティと安定した運航実績あってこそ。


上海航空 BOEING B767-3Q8ER (B-5018) @関西空港 2004.07.24
2-3-2で横7列の座席配置は、乗客に好まれる窓側と通路側が85%を占める秀逸な設計だ。


エアカナダ BOEING B767-375ER (C-FCAG) @関西空港 2005.07.23
地味なスタイルの中に、あの太平洋をもひとっ飛びするパフォーマンスを秘めた300ER。


ブルーパノラマ航空 B767-304ER (F-GLOV) @関西空港 2005.07.23
ヨーロッパのB767-300には、チャーター用の横8列配置を可能にした機材が多い。


アシアナ航空 B767-38E (HL 7506) @小牧空港 2004.09.03
セントレアが開港する前、国際空港としてにぎわっていた名古屋にも数多くのB767が就航していた。


エバー航空 B767-3T7ER (N 601EV) @関西空港 2003.11.23
エバー航空の初期フリートとして活躍した、B767-300ER。今はA330で運航されている。

B767-300 B767-300ER
全長 54.9 m
全幅 47.6 m
全高 15.8 m
巡航速度 852 km/h
航続距離 7,340 km 11,300 km
最大座席数 309

参考文献
青木謙知,「旅客機年鑑2008-2009」,イカロス出版,2008年
Airliners.net - Aircraft Data


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