A300-600は、ヨーロッパのエアバスインダストリーがA300B2/B4の胴体にA310のグラスコクピットを組み合わせて開発した中型双発機である。
さらに低燃費エンジンと尾翼燃料タンクの装備によってA300B2/B4最大の弱点であった航続距離を改善した。
また、A300譲りの離着陸性能は相変わらず健在であり、地方空港の短い滑走路でも運用できるオールラウンド機として世界各地で活躍している。
A300-600では貨物専用型のA300-600Fも開発され、経年化したDC-8Fに代わる機材としてライバルのB767-300Fと受注争いを繰り広げた。
機内には世界標準のLD3コンテナを横に2列積むことが可能で、これは本機種の大いなるアドバンテージとなった。
また旅客型から改修された機体も数多く存在し、安価かつ高性能な貨物機として世界的に人気を集めた。
2005年に佐川急便の子会社として設立されたギャラクシーエアラインズ(GXY)は、運航にあたって本機種を選定した。
日本ではJALが旅客型のA300-600Rを運航しているが、貨物型は国内で初めての導入となった。
1機は元チャイナエアラインの機体を貨物型に改修して、もう1機はエアバスに新造機を発注して2機のフリートで運航を始めた。
羽田・関西・新千歳・北九州・那覇の5空港に就航して経営も軌道に乗ったかと思われたが、原油の高騰により運航経費がかさみ赤字に転落していた。
2009年にはついに運航停止を発表し、機材も海外へ売却してわずか3年の歴史に幕を下ろした。
国内貨物エアラインはこれまでにもJALグループの日本ユニバーサル航空や独立系のオレンジカーゴが挑んだがいずれも運航停止に追い込まれており、佐川急便の力をもってしても鬼門を破ることはかなわなかった。
AIRBUS A300B4-622R/F (JA 01GX) 現行塗装
登録記号 |
型式 |
製造番号 |
登録年月 |
抹消年月 |
備考 |
JA 01GX |
A300B4-622R/F |
533 |
2006.04 |
2009.01 |
購入 チャイナエアライン B-18572 1989年製造
2005.12 貨物機に改修
売却 GECAS N103MT 解体 |
JA 02GX |
A300F4-622R |
872 |
2006.11 |
2009.07 |
売却 現TMA航空 OD-TMA |
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A300-600F |
全長 |
54.1 m |
全幅 |
44.8 m |
全高 |
16.5 m |
巡航速度 |
840 km/h |
航続距離 |
3,700 km |
最大離陸重量 |
153.0 t |
エンジン |
PW PW4158 25,400 kg ×4 |
最大搭載量 |
54.0 t |
「日本のエアライン2008-2009」 イカロス出版, 2008年
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